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レッスン・プラス・ワン

発表会目前でも練習しない生徒さん・・・これでよかったの?

2025年9月3日

聞いて!まるみえ先生

発表会目前でも練習しない生徒さん…これでよかったの?

発表会が近づいているのに、思うように練習してこない生徒さん…。
「本人の強い希望で選んだ曲なのに仕上がらない」「保護者からの要望と板挟みに…」──こんな経験、ありませんか?

今回は「練習しないのに、弾きたい曲がある」という一見矛盾したように思えるケースについて取り上げます。
実はそこにこそ、生徒のやる気を引き出す大きなチャンスが隠れているのです。

お悩み内容

本人の強い希望で曲を決定したものの、本番直前になっても仕上がらず…。仕方なく音数を減らしたり途中をカットして対応しました。
ところが今度は親から「ここは弾かせたい」と要望があり困ってしまいました。
本番は何とか形になり、本人は好きな曲が弾けて満足そうでしたが、これでよかったのでしょうか?
(T.A先生)

ズバリ!それで良かったのです

ご本人の「好きな曲が弾けて満足そうだった」という結果こそ、最優先すべきこと。
発表会は「仕上がりの完璧さ」だけでなく、生徒が音楽を楽しむ原点を再確認できる場でもあります。

「練習しない」と「弾きたい曲がある」を切り離して考える

先生が抱えるモヤモヤの正体はここにあります。

  • 練習してこないでも「弾きたい曲がある」と主張する

この2つを一緒にすると矛盾に見えますが、切り離して考えると「やる気の種」が見えてきます。

「弾きたい曲がある」は最大のチャンス!

練習が苦手な生徒さんほど、「弾きたい」という気持ちを大切にしたいものです。
YouTubeや華やかな演奏会に憧れてピアノを始める生徒は多いもの。反復練習の地道さは見えにくいため、「自分もすぐにできる」と思ってしまうのも自然です。

だからこそ「弾きたい曲がある」は、練習への入り口となる大きなチャンスです。

言葉がけの工夫

生徒の気持ちを尊重しつつ、自然に練習へ導くための声かけをいくつかご紹介します。

  • 「弾きたい曲があるんだね!いいやん!先生、応援するよ!」

  • 「この曲には〇〇ちゃんの知らない音もいっぱいあるよ。先生が弾きやすくアレンジするね」

  • 「一番好きなところはどこ?そこから練習しよう」

  • 「発表会では、どんな風に弾けるようになっていたい?」

ポイントは、“先生が課題を押しつける”のではなく、生徒に選ばせることです。

完成度を決めるのは生徒自身

「練習しないと弾けないよ」ではなく、
「自分はどう弾きたい?そのために今できることは?」と問いかけましょう。

先生の理想の完成度に到達しなくても、それを決めるのは生徒自身。
発表会後には「挑戦したこと」そのものを拍手で讃えることが大切です。

ピアノ教室は「練習の仕方を学ぶ場所」

私自身、生徒さんには「練習すること」を学ぶために来てもらっていると考えています。
やがて自分の好きな音楽を演奏するために、どう練習を組み立てればよいのかを学ぶ。
その結果、自分の心を喜ばせ、周りの人の心も豊かにできる。

そんな学びを、一つ一つ積み重ねていけるよう日々レッスンしています。

まとめ

  • 本人が満足したなら、それで良い!

  • 「練習しない」と「弾きたい曲がある」は切り離して考える

  • 「弾きたい曲がある」は最大のチャンス

  • 完成度を決めるのは生徒自身

  • ピアノ教室は「練習を学ぶ場所」

先生がモヤモヤする場面こそ、次の指導のヒントが隠れています。
ぜひ生徒さんの「弾きたい!」を大切に、未来につなげていきましょう。