

こんにちは、まるみえ先生こと中西美江です。
「この教材、去年のあの子はスラスラ進んだのに、今年のこの子は全然進まない…」
導入期のレッスンをしていると、こんな場面に出会うこと、ありませんか?
同じ出版社の、同じ教材を使っているのに。
同じくらいの年齢で、同じくらい真面目に練習してきているのに。
なぜか一方はどんどん進み、もう一方はある1ページでピタッと止まってしまう。
そんなとき、つい私たちは考えてしまいます。
「この子には、この教材は合わなかったのかな」
「もっと簡単な教材に変えるべき?」
「私の教え方が悪いのかもしれない」
でも、令和8年で34年、延べ3,400名以上の生徒さんと向き合ってきて、
私が辿り着いた答えは少し違います。
教材が「進まない」のは、教材のせいでも、生徒のせいでもない。
教材が想定している理解段階と、目の前の生徒さんの実際の発達段階との間に、
「ズレ」が起きているサインなのかもしれないと考えるようにしています。
「合わない=失敗」から抜け出す
教材にはそれぞれ「設計思想」があると考えます。
どの力を先に育てるか、どの力を後回しにするか、どの程度の負荷を「適切」とみなすか?
という、成長モデルが組み込まれています。
設計思想に優劣はありません。あるのは「向き・不向き」だけです。
この視点を持てるかどうかで、レッスンの景色はガラッと変わります。
「合わない=この子はダメ」ではなく、
「合わない=設計と発達段階のズレ」として、
冷静に、論理的に捉えられるようになるからです。
「停滞や詰まり」を、生徒さんの神経系の視点から見てみましょう!
私はレッスンを組み立てるとき、いつもポリヴェーガル理論を土台にしています。
人の神経系は、安全を感じているとき(腹側迷走神経系が優位な状態)にこそ、
学習や表現、他者とのつながりに力を発揮できる、という考え方です。
教材が「進まない」場面を思い出してみてください。
生徒さんは、譜面を前にして固まっていませんでしたか?
それは意志の弱さや練習不足ではなく
「わからない」「できないかもしれない」という予感によって、
神経系が防御的なモードに入ってしまっている状態かもしれません。
教材選びや指導法の工夫は、単なるテクニックの話ではなく、
生徒さんたちが「ここは安全な場所だ」と感じられるレッスンをどう設計するかという、
SEL(社会情動学習)とウェルビーイングにも直結するテーマだったのです。
教材は「使う」ものから「共に育てる」ものへ
私がこの講座でお伝えしたいのは、
教材を「順番通りに進めるもの」として扱うのではなく、
レッスンアイテムとして自由に組み立て直す視点です。
- 1曲を多角的に活用する
(テンポを変える、歌詞をつける、連弾にする、弾く音程の高さを変える、音符記号を変える)
- 難所の前に「橋を架ける」ように先回りして準備する。
- どうしても合わないときは、講師自身がアレンジして、課題を減らして確実に出来るようにする
これらはすべて
「教材のせいにしない・生徒さんのせいにしない」という
「それで良いよの哲学」から生まれています。
生徒さんを条件つきで評価するのではなく、
「今のあなたのままで大丈夫」という土台の上に、
少しずつ(poco a poco)力を積み上げていく。
その積み重ねの先に
教室のブランドプロミスでもある
「そして自分を好きになれること」があると、
私は信じています。
この講座でお話しすること
今回の講座「もう迷わないピアノ導入教材の活用法と指導のコツ」では、
- 教材が前提とする5つの「設計タイプ」の見分け方
- 詰まったときの3つのアプローチ(事前準備・教材魔改造・迂回教材)
- 私が実際のレッスンで使っているオリジナルメソッド「マイピアノ楽譜」
- 「変える/継続する/併用する」を迷わず判断するためのフレームワーク
を、ポリヴェーガル理論やSEL、ウェルビーイングの視点も交えながら、
現場で使えるかたちで具体的にお伝えしていきます。
講座が終わったあと、「明日のレッスンが変わる」
そう感じていただけることを、目標にしています。
次回は、教材の「設計思想」について、5つのタイプに分けて詳しくご紹介します。
それぞれのタイプが、生徒さんのどんな情動的なニーズに応えているのかという視点も
加えてお話ししたいと思います。
**講座情報**
「もう迷わないピアノ導入教材の活用法と指導のコツ」
講師:中西美江(まるみえ先生)
■ 2026年9月28日(月)10:30〜12:30/
主催:平瀬楽器藤原台センター